2005/08/03 サンタナ ハンコック ショーターEmisaries For Peace広島公演(その2)
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さて、今回の目玉であるジャズの巨人二人の参加について。
9人編成で舞台勢ぞろいの同バンドに10人目、11人目の一時メンバーとして中央右に毅然と存在する二人のジャズの巨人の姿を見たときは感慨深いものがありました。大物ぶることもなく、さりげなくピアノやエレピにちょこんといる感じのハンコック65歳。そしてそのそばにて哲学者然とした様相でテナーやソプラノを手元に待機するショーター71歳。音楽史にも残るであろうジャズ界百戦錬磨のつわもの二人の面持ちは極めてリラックスしたものでありました。そこにもカルロスと両者の信頼関係がうかがえましょう。
しかし、今回の大物三者ツアーはあくまでサンタナバンドがメインであり二人はあくまで豪華な付けたし。
1981年のライブアンダーザスカイ(田園コロシアム等)でのハービー・ハンコックとカルロス・サンタナのスペシャル・バンドの時のような一部二部形式でパフォームしたほうがお互いにとって「三者大物対等ライブ」としての持ち味も十二分に披露できたのかもしれない。
すなわち、あの時は第一部がハービーが連れて来た1管のカルテットで数曲ほど同カルテットのみで演奏した後、サンタナがゲストとして二曲ほど客演しその後の第二部にて今度はサンタナバンド(ドラムは第一部と同じトニー・ウィリアムス)にハービーが客演の形での形態でした。もちろん、同バンドのボーカルと鍵盤奏者は敢て連れてきませんでした。デニス・チェンバースのドラム資質を鑑みたら当時のトニーに匹敵該当することは明白ですね。
また、1988年にはカルロス・サンタナ&ウェイン・ショーターを双頭リーダーとするツアーのための臨時編成バンドでの欧州公演がありDVD等でも記録化されていますが、今回もこの時のようにまったく新しいバック陣容(むろんこの時と同様ボーカリストは抜きで)で臨んでもまた上記1981年ライブアンダーザスカイ同様、大物対等ツアーとしての持ち味はもっともっと出せたものと思いましたね。
いずれにせよ今回の、既に完成されたサンタナバンド(しかも強力なボーカリストまで含んだ)への二人の割り込みはいくら百戦錬磨のジャズの巨人とは言えど、ソロ演奏時間や曲目によってはラテンパーカッションとの齟齬などやはり違和感を感じさせてしまう部分はあります。(これについてはカルロスは敢て今回もう一人のレギュラーパーカッショニストを連れてこなかったのはせめてもの救いではありましたが)
もちろん、それでも二人は年季のはいった職人芸できらびやかな音の装飾をこなしていたことは言うまでもありませんが、やはり「さらなる活躍を見たかった」の本音が私の鑑賞欲からどうしても惹起してしまいます。
だからこそ昨夜の場合、ハービーのピアノとショーターのソプラノサックスとの二人のみのデュオの曲目がわたし的には随一であったことは言うまでもありません。まさに熟練した魂の対話とでも形容しておきましょう♪
それからプロモーターにも一言。
公演の最初から最後まで同バンドの範疇での二人の客演であるならばいかにも三者対等公演であるかのような宣伝の仕方は反省材料であったと考えます。ポップ・ロック界の人気者サンタナバンドでもあるのだから、「サンタナメインで二人は客演」と明示したプロモートであっても実質完売の観客数には変わりなかったはずです。
ともあれ、親友カルロスとの真心からの共演に頑張ったこの二人のジャズレジェンドにあらためて大きく拍手を送りたいですね。上記で述べた形式での文字通りの三者同等ライブツアーがいつか見れることも願望しています♪
※当欄の前回の音楽コンサート評は2005/04/19 付「PMG(パット・メセニーグループ)広島公演
」。
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